第21回ムビリオバトル大阪/「恋は邪魔者」

テーマに沿った映画を紹介しあい、多数決でその日に上映する映画を決める参加型上映会「ムビリオバトル大阪」を隔月でちんまりと開催している。早いものでお陰様で無事21回目の開催を終えることができた。

ムビリオバトル大阪|映画紹介の会

今回の発表作品はこちら:

  1. 恋は邪魔者(2003年)
  2. 醜聞(スキャンダル)(1950年)
  3. キャプテンマーベル(2019年)

今回私が紹介したのはこちら↓

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恋は邪魔者 原題:Down With Love

(2003年)

<あらすじ>舞台は1962年。ヒロインのバーバラ(レニー・ゼルウィガー)は、女性も仕事に邁進し男性とは恋愛せず体の関係だけにとどめるべきだと説く自著「恋は邪魔者」を出版するためにニューヨークへやってきた。彼女は担当編集者ヴィッキー(サラ・ポールソン)の計らいでプロモーションのために男性誌のスター記者であるキャッチャー(ユアン・マクレガー)との会食へ向かうものの、遊び人のキャッチャーは他の女性たちとのデートを優先して約束を反故にしてしまう。結局「恋は邪魔者」は他のルートから大ヒットを記録し女性たちのバイブルとなるが、それが面白くないキャッチャーは別人のフリをしてバーバラに近付き、「彼女も結局は男性との恋愛を求めている」という暴露記事を書こうと企てる…

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後にマーベルの「アントマン」シリーズを手がけることになるペイトン・リード監督作品。実際の60年代NYというよりは当時のロマコメ映画の世界を研究して徹底的にパロディにしており、ものすごくカラフルでありながら計算されたセットやカメラワーク、古着ではなくすべて一から仕立てた衣装の数々は一見の価値あり。役者さんたちも映画のトーンに合わせて意図的に芝居がかった芝居をしており、ミュージカルではないものの音楽とシンクロした動きはまるでミュージカルのよう。重要な音楽を担当したのは「天使にラブ・ソングを…」「ヘアスプレー」などミュージカルや音楽系映画で活躍するマーク・シェイマンさんでこちらも間違いない布陣。若きユアン・マクレガーの実在が信じられないほどの輝く美男子ぶりも含めて、とても目に楽しい作品になっている。

が、カワイイけれど予想外なことは何も起こらないざっくりしたロマコメだと思っていると実は足をすくわれる、一筋縄では行かないお話でもある。DVDに付いていた監督の音声解説によると「参考にした60年代のロマコメ映画はもちろん大好きだけど、この後ヒロインは男と結婚するために自由をすべて捨てるんだろうと思えるあっさりしたラストは手放しに称賛できない」と感じていたそうで、古き良きロマコメの空気感は汲みつつも21世紀的なアレンジを加えた作品になっている。終盤、キーになるシーンでのレネー・ゼルウィガーさんの熱演は必見!

どの辺りが革新的でどの辺りはもっとやれる点なのか?お気に入りの衣装やギャグは?など、語り合いたくなる映画。おすすめ!今のところU-NEXTやディズニー+、DVDで鑑賞可能。