第18回ムビリオバトル大阪/「ガリーボーイ」

先日、無事第18回ムビリオバトル大阪テーマ「言葉」を終えることができた。あくまで私は細々した取りまとめをやるだけで当日の楽しさはひとえに参加者の方々のご協力あってのものなので、毎度感謝しきりです。今回紹介された作品はこちら↓

  1. お嬢さん、乾杯!(1949年)
  2. ガリーボーイ(2018年)
  3. ソング・オブ・ザ・シー(2014年)

考え出すとなかなか難しいテーマで作品数もどちらかというと少なめだったが、戦後間もない時期の邦画ラブコメ、ヒップホップを題材にしたインド映画、アイルランドの新進制作会社によるアニメ映画と大変バラエティ豊かな作品が集まり大盛り上がりでした。毎回のことですが本当に投票する作品を決めるのが大変!自分が発表した作品には投票できないルールなので私は実質2択だったけど、発表なしの参加の方にとってはとりわけ悩ましかったのではないかと思う。

今回私が紹介した映画はこちら。

ガリーボーイ

【あらすじ】インドのスラム街に暮らす青年ムラドはヒップホップを心の支えにしている。自作のリリックをノートに書きつけていたものの人前でパフォーマンスをしたことはなかったが、やがてラッパーを目指すように。

2018年のインド映画。実在の有名ラッパーをモデルにしつつ、架空の人名にして脚色しているそう。一般的に想像されるような、色とりどりのサリーを着た人が急に集団で踊りだすようなタイプのインド映画ではなく(もちろんそういうのはそういうので良さがあるのだが)、リアルなラップバトルのシーンなどは普段ヒップホップを能動的に聞くことがほぼゼロの私が観ても掛け値なしに「めちゃくちゃカッコいい!」と思える。インド映画を観たことがない人が初めて観るのにも良さそう。

それほど本数を見たわけではないけど、今までに見た面白いインド映画で共通して凄いと感じる点は貧富の差の描写。ガリーボーイでも、主人公の家庭が収入の足しにするため富裕な海外観光客に自宅を見物させているなど貧しさの描き方が容赦ない一方で、お金持ちの家は単に広いだけではなく本当にお金持ちっぽい説得力がある。今回のテーマ「言葉」で言うと、土着の言葉(ムンバイなまりのヒンディー語だそうです)を話す主人公たちに対してお金持ち勢は英語で会話しているのもインドの歴史を感じて興味深い。そういった厳然たる生まれによる差がある中、先輩ラッパーとの出会いなどを経てマイク一本を武器に這い上がろうとする主人公を応援せざるを得ない。ムカついたら躊躇なく物理的な攻撃を選ぶ強い(強すぎる)ヒロインも、イスラム女性に対するイメージを打ち破る描き方で新鮮だった。人間ドラマが観たいときにオススメ。

完全に余談だけど、今回3回目の鑑賞をしていてラップバトルの参加者の中に阪神タイガースのユニフォームを羽織っている人がいることに初めて気づいた。ファンとしてじゃなく単にオシャレとして野球のシャツを着るなら全然馴染みのないチームのやつの方が良いということかもしれない。