【ドキュメンタリー映画】愛しのフリーダ

先日、主催している映画紹介イベント「ムビリオバトル大阪」の第13回を開催した記事を書いた。

hazukilazy.hatenadiary.com

実は「青春」というテーマから最初に自分の中で候補にしていたドキュメンタリー映画は「愛しのフリーダ」だったのだけど、迷った末「メイキング・オブ・モータウン」にした経緯があり、今後ムビリオバトルに持っていくこともなさそうなのでこちらで紹介しようと思う。

「愛しのフリーダ」を大変ざっくり言うとこんな感じ:

私フリーダ、17歳!毎日演奏を聞きに行ってる推したちがやっとレコードデビューすることになったと思ったら、ひょんなことから彼らのマネージャーに秘書になるよう言われて…?!

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というわけで、今作は地元のファン以外は誰も知らなかった推しのローカルバンド、その名も「ビートルズ」のもとで働くことになったフリーダ・ケリーさんについてのドキュメンタリー。フリーダさんはビートルズの解散後しばらくして普通の企業に転職してからは完全に一般人として働き、あまたの書籍化や映画化の誘いもすべて断っていたものの、お孫さんができたことから「この子に私の若いころのことを伝えたい」と映像制作に踏み切ったとか。

ミュージシャンの話というと曲作りやレコーディング、ツアーなんかを想像するけれど、今作では秘書兼ファンクラブの運営者で、バンドとは家族ぐるみの付き合いだったフリーダさんの視点から色々な話が聞けるのが面白い。いわゆる暴露本みたいな感じではなく、親戚の素敵なおばちゃまの思い出話を聞かせてもらっているよう。特に印象深かったのはファンレターやファンクラブ周りの話で、ピーク時には1日数千通来ていたファンレターにはすべて彼女がメンバーのサインを添えて返事していたうえ、「××くんの髪の毛がほしい」という手紙には本当に本人の髪の毛を同封して返信していたという話は強烈すぎて忘れられそうにない。本人たちも協力的で、散髪するときは髪をストックしておけるように理髪店の床にマットを敷いてから切ってくれていたそうだけど、いい人だと言ったらいいのか…?すごい時代だ。今もしBTSの髪の毛なんか送ったら大問題になる(し、なるべき)だろう。他にもジョン・レノンに失礼な物言いをされて「ひざまずいて謝ったら許してあげる」と言い本当にひざまずかせたとか、この人にしか聞けないであろう話がたくさん出てくる。

ビートルズはオリジナル音源の使用許可をなかなか出さないことで有名で、ドラマの劇中でたった1曲使うために25万ドル(!)支払った例すらあるらしいのだが、今作ではそれよりはるかにお手頃な使用料で「どれでも好きな曲を4曲使っていい」という異例の許可が下りたそう。彼らにとってもフリーダさんは特別な存在だったんだろうな。

86分でサクッと見られるしとても面白かったのだけど、「ジョージ・ハリソンって誰?」みたいなレベルの人が見ても面白いのかどうかはやや確信が持てなかったので、ムビリオバトルではメイキング・オブ・モータウンを紹介することにした。「愛しのフリーダ」はHuluほかで配信されているので興味のある方はぜひ。特典映像つきのBlu-rayを購入したので友人には全然貸します(私信)。